かつて滋賀県は大津市の職員に、知人の菓子職人のわずか10日の手ほどきのみで、自宅を工場にし、和菓子商を創業したという方がおられました。
めちゃくちゃなお話しに聞こえますが、型通りの人生で終わることに嫌悪感を覚え、39歳で、激しく未知の可能性への挑戦に賭けてみたくなったという創業者の方の情熱には、とても胸に熱く響くものがあります。
1958年に滋賀県内に創業されたその和菓子屋さんの名は「叶 匠壽庵(かのうしょうじゅあん)」。今では県内屈指の有名和菓子店です。
今日は、そんな叶 匠壽庵が、約20万8,000平方メートルの広大な敷地に造営したカフェなどの飲食スペースや、ヤギの牧場、梅林などのある1日中楽しめる複合レジャー施設「寿長生(すない)の郷」について紹介します。
JR石山駅にやって来ました。石山駅は、京都駅からだと新快速で約15分の距離感の場所です。
エスカレーターを上り、
改札を出て、
北口の方に進みます。
石山駅には、残念ながら駅スタンプはないのですが、
このような面白そうなものがありました!
ゲゲゲの鬼太郎の妖怪ポストみたいなこのポスト、何のためのものかと言いますと、
俳句を投函するためのものだったりします。
2、5、8、11月の年4回、その時投函された俳句までで審査が行われ、優秀作品が決められるみたいです。各回一人10句までとのこと。
どこから入れるのかなと思いましたが、入れ口は、こちらみたいです。
直近のコンクールの結果が掲示してありました。あ、あと、余談ですが、俳句の巨匠、松尾芭蕉のお墓はここ大津市にあったりします。
さぁさぁ、それはさて置き、バスに乗り換えねばならないので、向かいます。
下りのエスカレーターもありますが、何となく階段で。
叶 匠壽庵へは、無料シャトルが出ています。
シャトルは、10時05分から毎時2時間間隔で出ています。
こちらが、叶 匠壽庵の無料シャトルです。
バスは、このような市バスサイズタイプのものと、
こちらの料理屋ご用達サイズタイプの小ぶりのものとの2種類があって、時間帯と曜日によってどちらが来るかが異なります。
山の、自然の方に向かっているので、バスからの眺めは、山の緑に川の水、青い空に白い雲と夏らしくって気持ちの良いものでした。
はい、やってきました。叶 匠壽庵。
まずは、案内所に行ってみましょう。こちら「寿長生の郷」は敷地内が本当に広く、盛りだくさんです。なので、最初にこちらに立ち寄って、施設案内マップをもらいます。
ちなみに、「寿長生(すない)」とは、井戸の桶を引き上げる縄を意味する豊国(とよのくに:7世紀末頃の律令制以前の日本にあった国)の言葉で、訪れた方々に、活力を汲み上げていただきたいという思いから名付けられたものなのだそうです。
中に入ってみましょう。
味のある古民家に、味のある設えが施されています。
囲炉裏の部屋がありました。
木製の椅子も建物にマッチしています。
背後にあるのは、フロントのような立ち位置のコーナーで、こちらでスタッフの方に施設全体について案内していただけます。
こちらの案内所は、商品販売も兼ねていて、叶 匠壽庵の商品が買えるようにもなっています。
土間から上がったところのスペースには、床に腰掛ける囲炉裏の部屋の他、テーブルと椅子がセットになっているスペースもあり、多様なくつろぎ方ができます。
縁側にもたそがれスペースが。すだれもあり、夏らしいですね。
庭から中を見るとこんな感じです。
茅葺き屋根のお家、いいですよね。
この案内所は、江戸時代末期の建物で、移築されたものではなく、もともとこちらにあり、普通にお家として使われていたものを改装したものなのだそうです。なんでも赤穂浪士討ち入りの忠臣蔵で有名なあの大石内蔵助ゆかりの家なんだとか。ちなみに、このあたりは、大石家のルーツであると言われており、地名にも「大石」という名が残っていたりします。
こちらの案内所では、立ち寄ると、ウェルカムドリンクとして、お茶を出していただけます。梅のソフトクリームなどのちょっとしたフードも販売されているので、こちらでひと息つくのも、またいいなぁと。
では、早速、施設内を回ってみましょう。
本当に敷地が広いです。この地図と同じものを先程の案内所でいただいたので、マップを頼りに回っていきたいと思います。
さて、まずは、こちらの入口でいただいた浴衣で訪問特典(8/16まで)のかき氷or焼きとうもろこし引き換え券を使いに屋台のある広場へ向かいます。
案内所から広場までの道中には、竹林がありました。雰囲気のある場所でして、皆さんこちらで写真を撮られていました。
この緑のアーチを抜け、案内看板に従って進んでいくと、
屋台の広場にやって来ました!
このエリアの入り口付近には、夏のおもてなしに、氷柱(ひょうちゅう)が設置されていました。
今はあまり良くないのかもしれませんが、消毒も持参していたので、少しだけそっと触れてみました。
屋台の広場には、夏らしさとお洒落さを兼ね備えたいい感じの席がたくさん設けられていました。
ちょっと違うけど、なんかグランピングぽーい。
ダークブラウンの机に布生地のチェア。シンプルなのが映えるんです!
緑の芝生と夏色の明るいトーンの服や浴衣に!
レトロモダンな模様のうちわやぶたモチーフの蚊取り線香も。わかってはるなぁ。フォトジェニックアイテム!
風鈴も可愛い!
ちょっとリゾートぽい素材の椅子のコーナーもあります。
むかし遊びなんていうコーナーもありました。
和柄の鮮やかなめんこや赤が映えるけん玉は、これまたフォトジェニックです。
普通にきゃっきゃって遊びたいのと、ビビッとなフィルターで写真を撮りたいのと!
楽しいなって思いました。
小さなとうもろこし畑もありました。
この季節、とうもろこしの収穫体験なんかもできたりします。8月のこの季節になると終わってしまっていますが、こちらの施設では、梅狩りなんかも楽しめたりします。
ちょっとひと休みししたところで、かき氷をもらいにいきます。
かき氷のラインナップです。いちご以外は、どちらかと言えば、かき氷の非主流派メンバーばかりで、どれにしようか、わくわくしました!
色が変わる不思議なかき氷と推されていた若紫にしてみることにしました。
青いかき氷は、
レモンシロップを掛けることによって、薄い紫色に変化します。
これは、源氏物語のストーリーになぞらえていて、若紫(青色)が光源氏(黄色)の手で理想的な女性紫の上(紫色)に成長していったという物語の大筋をシロップの色で表現されているのだそうです。
もう少しいい感じになったのですが、色が上手く撮れてなくて、写真では白っぽくなっちゃいました…。けど、かき氷を夏のアイテムたちと写すと楽しいです!
ちなみに、色が1番可愛いのは白桃かなって思ってます。こちらのサーモンピンクのがその白桃味のシロップのかき氷です。
所変わって、こちらは、野坐という名前のベーカリー&カフェです。
1階かパン屋で、2階がカフェになっています。
店先には、鹿のオブジェがありました。
野坐の店内案内板です。
ガラス張りの1階のパン屋さんは、オレンジの灯りがお洒落さを演出していました。
今回は、カフェを利用させていただくので、
どんなものがあるか、
メニューをちらっと確認し、
2階へ向かいます。
中は、木の感じが素敵な落ち着く雰囲気のカフェスペースでした。
あちらに見えるのは、サイフォンコーヒーを作るやつですね。
店員さんに店内とコーヒー器具について、写真に撮っていいか尋ねると、写真映えするようにと思ってくださったのか、器具のスイッチを入れてくださいました!
こちらは、電熱で温めるタイプの器具だそうで、本格的なコーヒーじゃなくても、ホットのカフェオレを注文するのでも、こちらサイフォンコーヒーの道具で入れてくださるとのことでした。
何を注文しようか迷った結果、
一押しとして、ピックアップされていたこちらのクリームソーダと、
餡タルトを注文しました。
ケーキと甘い飲み物が、セットで来ると嬉しい気持ちになります!
さすがは、お菓子屋さんのタルト。餡がおいしいことはもちろんのことですが、クリームもむちゃくちゃおいしかったです。
違いがわかような人間じゃない私でも「あ、違う!」ってわかりました。
そして、先程のかき氷と同様に色が変わるシリーズで、こちらもやってみました。
このクリームソーダ、さっぱりしていて、とても飲みやすかったです。
私は本来、炭酸飲料が苦手なのですが、やさしい口当たりと、飲み心地で、まったく炭酸への苦手さを感じませんでした。
もしかしたら、私、こういうほんまもんの炭酸飲料は飲めるのでしょうか。
さ、お次は、ヤギの農地。
本当にヤギがいるの?と思いつつ、近づいて行くと、いました!
遠くだったけれど、戯れる5頭ほどのヤギたちを見ることができました。
まさか動物まで見られるとは思っても見ませんでした。
次は、長屋門から茶室や売り場の建物に入ります。
こちらが長屋門。
風になびく暖簾が涼しげです。
入ったところには、またまた氷柱がありました。
こう見るとちょっと儀式みたいですね。
門入ってすぐはお庭が広がっています。
日本家屋のように、庭が設えてありますね。
焼き物なんかも置いてあって雰囲気あります。
こちらが、ホール、売り場、茶室がある建物の入口です。
中には、いろんな調度品が建物の装飾に置かれていました。
洋館風の椅子もありました。
夏らしい涼しそうなガラスの花瓶にお花が生けられています。
こちらの通路の先に売店や茶室があるのですが、それらを見て、
建物の反対側から外へ抜けます。
こちらからさらに梅林に抜けることができます。
梅林に繫がる通路です。
こちらをまっすぐ行くと、
茶房とお食事処があります。
寿長生の郷の食事処って、価格帯がちょっとお高めなのではと思っていましたが、梅おろし蕎麦(税込1,100円)や丹波黒鶏の親子丼(税込1,683円)など、比較的手頃な価格の食事も提供されていました。
さて、先程の売り場や茶室の建物の近くまで戻ってきました。
ここからさらに「山のテラス」と「山頂」に向かいます。
先程とは違う梅林をずっと進んでいきます。
まずは、陶房に到着しました。こちらでは、寿長生の郷の土を使って、器が焼かれています。
建物の前には、このように、
陶器が置かれています。
小さな登り窯もありました。
そんな陶房を経て、やって来ました。一瞬入ってはいけないのかと思いきや、
この扉は、鹿避けのためのもので、自由に開けて入ってよいみたいでした。
いざ。
道に迷いそうで心配だなと思いましたが、案内看板がこまめに設置してありますし、
行ってはならぬみたいなところには、こうやって「これより先、迷子になります」と表示されています。立入禁止をこんな風に表現する方法もあるんだなと興味深く思いました。
こちらは郷の様子です。本当に広いなぁこの施設って思いました。
見えてきました。
山のテラスです。山のテラスは、比較的すぐに到着します。
ここでちょっとピクニックというのもいいなと思いました。
あちらには、なんか現代アートみたいなんがありますね。
ビニールハウスのような半球の中には、椅子が設置されていました。こちらもくつろぎスペースのようです。
チャックで開けて入れるようでした。が、夏は暑すぎて入ったら大変なことになりそうな気がします。
さ、この調子で山頂を目指します。持国天。反対から読むと、天国なので、ちょっと怖い気もしました。
進むべきはこちらです。
ちなみに、山頂は最初の案内所から徒歩約30分の距離です。
そして、あらかじめ言っておきましょう。こちら比較的歩きやすかった道を写していますが、浴衣や下駄で歩く道じゃないですね。私は行きましたが、スニーカーと洋服で来た時に行ってください。
着きました。山頂です。そして、持国天です。
せっかく来たので、少し近くからも撮りましょう。
振り向くと麓の集落が見えました。
さぁ、登り切ったはいいのですが、見どころとしては、こちらの持国天の建物と景色だけなので、堪能したら下山します。
帰りの道の方が草木が生い茂っていました。帰りと言いつつも、逆にこっちから登ってくることもできるんですけれども。
この里山は、従業員の方々が自らが手を入れて整備を続けておられるのだそうです。中には、樹木医の資格を持つ方もおられ、木々や野の花の成長を日々見守っておられるそうです。
広い道に出てきました。マップには「野の花観音径」とあります。
上東屋、中東屋、裾東屋と東屋シリーズが3か所ほど存在します。
フラットな道に戻ってきました。
池の写真を撮りましたが、敷地内は、本当に広く、池が何箇所もあります。
と、池の方を見ていたら、カブト虫を見つけました。カブト虫なんていつぶりに見ただろう。こうやって自然のものから「あぁ夏なんだ」って季節を感じられるのっていいなって思います。
さ、もとの広場に戻ってきました。
寿長生の郷をたっぷりと楽しんだところで、16時20分、石山駅行きのバスで帰るとします。
最後に
里山の向こうに広がる知らない世界。シャトルによって隔てられた異世界のように、寿長生の郷には非日常が存在していました。
こちらの叶 匠壽庵は、滋賀、引いては関西だけでなく、全国に展開しており、直営店や百貨店内店舗は、東京23区にもあったりします。
ぜひ、叶匠壽庵の和菓子の世界を、寿長生の郷で、お近くの店舗で、楽しんでみてください。お盆休みの参考に。
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